私が中学生の頃、同じクラスの男子生徒に、このようなことを言われたことがあります。
「俺はお前より顔もいい、背も高いし格好もいい、成績だっていいし運動神経だって上だ。
性格だってお前ほど暗くない。だから俺は全ての面においてお前より上なんだ。もしこのクラスの中の女子に、
お前と俺とどっちを選ぶかって聞いたら、全員が俺を選ぶはずだぜ、 へへ〜んだ。」
誇張したような書き方と思われるかもしれませんが、これはマジです。本当にこんなことを言われました。
こんなことを言う人間が自分の性格がいいと思っているところが始末に終えませんが、
どうも必ず自分と誰かを比較して、自分が人より優位であると思い込まなければいけない人が居るようです。
模型趣味でも然り。やたらと他人の作品を批判して自分のほうが上手いと思い込まなければすまない人。 別に模型が下手だからって近所の家にボールが飛び込んでガラス割るわけでも、次のプレーヤーを待たせて イライラさせることも、スピードが出過ぎて止まれずにつっこんで怪我させることもないのに、 何故「あいつは下手だ」「基本がなってない」と批判してしまうかといえば、 自分の立っている位置が分からないために、技量のない人の作品をけなすことでしか自分の技量度とか アイデンティティを確認できず、不安で仕方ないからではないでしょうか。
上記の同級生のような、思春期の不安定な時期ならともかく、社会人になってまで 他人のアラ探して「自分の方が上手い」と思い込んで、いや思い込もうとしている人を見るたびに、 精神的な未熟さを感じてしまい、悲しくなります。
私が模型に初めて目覚めたのは、小学校３年生の頃だったと思います。近所の同級生の友人と一緒に買った ニチモの1/24スナップキットのモーター付きの車でした。友人の家で一緒に作ったのですが、 友人はもともと手先が器用なのですぐにできて走らせていたのに、私はなかなかできずにベソをかき、 友人のお父さんにまで手伝ってもらってやっと完成させたのですが、その友人の車よりも遅く、 悔しい思いをしました。その後、彼とは作り比べをしたことが何度もありますが、 いつも私の方が下手に見えて（実際下手だったと思いますが）、ずっと劣等感が残っていました。 彼も「お前はやっぱり塗装が下手だな、俺の無塗装の奴の方がずっと綺麗だぞ」と私の未熟な点を指摘し続けていました。 それが悔しくて、模型雑誌を読んだりプロスプレーを買ったり、色々と思考錯誤で工夫するようになりました。 そのうちに彼は動くほうに趣味が移って電動ＲＣやエンジンＲＣに行き、それにも飽きてルアーフィッシングに没頭していきました。 彼はもともと器用なので、そっち方面でもなかなかの腕前でした。 私はあいも変わらずしこしこと模型を作り続けていました。それで次第に作り比べなどはしなくなっていきました。
私が大学生の頃です。彼が1/24のBe-1のプラモデルを持って下宿に訪ねてきました。そして、
「従姉妹の女の子がこの車が好きで、実車はお前も知ってる通り買えそうもないだろ？
だからせめてプラモデルでも欲しいって言って、俺に作ってくれないか？って持って来たんだけど、
俺、もう道具も無いし、お前なら奇麗に作れるから、申し訳ないけど作ってやってくれないか？かかった費用は払うからさ」
と言うのです。以前の彼からは考えられないような言葉でしたが(^^;)、
考えてみれば、下手ながらもず〜っと続けて次第に完成品の見栄えはあがっていった私、
中学校の時点で興味が完全に他に移って製作技術はそこで止まった彼、では違ってきて当たり前ですよね。
で、彼はプラモデルの製作では私のほうが綺麗にできると感じたのでしょう。
その従姉妹のためにとBetterな選択をしようとしたのだと思います。
（つーか学生だから暇だと思われたっつー方が可能性が高いような）
なんか、彼の出来と自分の出来とを比べてた自分がバカバカしくなってしまいました。人の出来なんか気にすることないじゃん、
というのを強烈に感じるようになったのは、この日からです。
あまり手はかけなくてもいい、とは言われたのですが、その当時の私の技術で一生懸命に作って、 彼に渡しました。しばらくして彼に会ったら、「従姉妹がお礼を言っておいてくれって。凄く喜んでたよ」 と言われました。彼とは今になるも人に言えない悩みも言える親友のままです。
ちなみに、冒頭に出た同級生ですが、私の行った大学に浪人して１年遅れで入ってきました。 （私は工学部で、彼は違う学部ではありましたが）そして「いやぁ、浪人してこんな大学になっちゃうとはなぁ、 なさけないよ」と言っていました。なんか上の発言は精神的に未熟なガキの暴発発言とも思えなくなかったのですが、 どうも彼は根っこから不毛な競争力が旺盛な性格らしいですな。:-p
その後彼とは会っていませんし、消息も分かりません。探す気も無い。